チェスのルールとは?誰でも意外と簡単に覚えられる!

チェスの世界にようこそ!
チェスは黒と白の駒を使用して、正方形の盤上で駒を戦わせるゲームです。
1000年以上前にインドで発明されたといわれており、ヨーロッパで爆発的に流行しました。
中世の貴族たちに愛され、何度かルールの変更とともに洗練されたシンプルで奥深いゲームになりました。
チェスの目的はシンプルです。
自分の駒を使用して、相手のキングを取ることです。
各駒には独自の動き方があり、それがゲームに複雑さを加えます。
「チェス」というゲームを極めることは困難です。
歴史上、日本人は誰一人としてチェスの世界チャンピオンになったことがありません。
しかし、チェスのルール自体はシンプルで分かりやすいものです。
一度ルールを覚えてしまえば、いつでもどこでもチェスの試合を楽しめます。
さあ、一緒にチェスのルールを学んでみましょう!
ルール①:チェス盤
チェスは、「チェス盤」の上に駒を並べます。
そのため、チェスのルールを理解する上で、チェス盤への理解は欠かせません。
見本:チェス盤
- チェス盤は64個のマスで構成されている。
- 白いマスと黒いマスが交互に並んでいる。
- チェス盤の向きは、左上と右下のマスが白いマスだと正常。
- 縦の列は「ファイル」と呼ばれ、A~Hの数字で表される。
- 横の行は「ランク」と呼ばれ、1~8の数字で表される。
上記の5つのポイントの中でも、4つ目と5つ目のポイントが特に重要です。
例えば、
- チェス盤の左下のマスは「a1」
- チェス盤の右上のマスは「h8」
と呼びます。
そして、チェス盤に駒を並べると、以下のようになります。
見本:駒を並べたチェス盤
後で詳しく説明しますが、各プレイヤーは以下の16個の駒を持っている状態でスタートします。
- キング1個
- クイーン1個
- ルーク2個
- ナイト2個
- ビショップ2個
- ポーン8個
ルール②:チェス駒の動き
ここからは、チェスの駒の動きについて解説していきます。
キングの動き方
まず最初に、キングの動き方です。
駒の名称 | キング(King) |
駒の価値 | – |
将棋で例えると | 王将 / 玉将 |
棋譜 | 「K」で表記される。 |
*ゲームの勝敗に関わる駒のため、キングに駒の価値という概念は存在しない。
キングの基本的な動き方は、キングを中心に周囲1マスに動けるだけです。
キングの基本的な動き(青マスに動ける)
キングに限らず、駒が動けるマスに敵の駒があるときだけ、敵の駒を取ることができます。
そして、相手のキングを取ったら勝ち、自分のキングが取られたら負けというのがチェスのルールです。
そのため、キングは相手に絶対取られてはいけない駒です。
基本的には、敵の駒から攻撃されにくいマスに置き続けることになります。
ただし、駒の交換が進み、終盤戦になるとキングを積極的に動かすことが重要になります。

クイーンの動き方
つづいて、クイーンの動き方です。
駒の名称 | クイーン(Queen) |
駒の価値 | 9点 |
長所 | 駒の中で動けるマスが最も多い。 |
短所 | 駒の価値が高すぎて集中砲火されやすい。 |
将棋で例えると | 飛車+角行。 |
棋譜 | 「Q」で表記される。 |
クイーンは、「前後左右」と「ナナメ前方後方」の8方向にどこまでも進むことができます。
クイーンの動ける範囲
チェスの駒で動けるマスが最も多い駒が「クイーン」です。
クイーンは動けるマスがとにかく多いので、チェスの駒で最も強い駒とされています。
クイーンは駒の価値が9点と高く、基本的に相手から取られてはいけない駒です。
例外として、以下のような場合はクイーンを取られても問題ありません。
- 相手のクイーンと自分のクイーンを交換する場合。
- クイーンを捨てることで試合に勝利できる場合。
ただ、チェスに慣れていない初心者の間は、クイーンは相手に取られないように立ち回るほうが無難です。
反対に、相手のクイーンは積極的に攻撃することが重要になっていきます。

ルークの動き方
駒の名称 | ルーク(Rook) |
駒の価値 | 5点 |
長所 | 終盤戦の駒が少なくなってきた盤面で支配できるマスが多い。 |
短所 | 初期位置が盤面の端のため、活躍できるマスに移動するまでに時間がかかる。 |
将棋で例えると | 「飛車」。 |
棋譜 | 「R」で表記される。 |
ルークは、前後左右のマスにどこまでも進むことができます。
ルークの動ける範囲
クイーンは「ナナメ前方後方のマス」にも進めますが、ルークは「縦と横のマス」だけです。
しかし、チェスの駒の中では、クイーンの次に強い駒です。
ファイル(縦列)に駒が1つもない「オープンファイル」にルークを置くと、ルークの動ける範囲を最大限活かすことができます。
そのため、ルークはオープンファイルに置くと活躍させやすいです。

ナイトの動き方
駒の名称 | ナイト(knight) |
駒の価値 | 3点 |
長所 | 敵の駒を飛び越えて移動できる。 |
短所 | 盤面の端にいると、支配できるマスが少ない。 |
将棋で例えると | 「桂馬」に近い。 |
棋譜 | 「N」で表記される。 |
ナイトは、ナイトのいるマスを中心に
- 縦に2マスから横に1マス
- 横に2マスから縦に1マス
の範囲で動けます。
別の言い方をすると、ナイトのいるマスを中心に「L字型」のマスに動くことができます。
言葉だけでは理解しづらいので、以下の例をご覧ください。
青色のマスがアルファベットの「L」に見えますよね?
補足:青色のマスが「L字」。赤い丸がナイトの動けるマスを示しています。
ナイトの動ける最大範囲
このように、Lを描くように動く駒がナイトです。

ビショップの動き方
駒の名称 | ビショップ(Bishop) |
駒の価値 | 3点* |
長所 | 対角線の移動を得意とし、序盤戦・中盤戦のさまざまな攻め・守りに活かすことができる。 |
短所 | 同じ色のマスにしか移動できず、終盤戦で活かしづらいことがある。(主に片色ビショップのみの状況) |
将棋で例えると | 「角行」。 |
棋譜 | 「B」で表記される。 |
ビショップは、斜めのマスにどこまでも進むことができます。
ビショップの動ける範囲
クイーンは「縦と横のマス」にも動けますが、ビショップは「斜めのマス」だけです。
駒の価値はナイトと同じく3点です。
ただし、白ビショップと黒ビショップの2つが残っているとき(ダブルビショップ)は、3+3=6よりも駒の価値は高いとされています。

ポーンの動き方
駒の名称 | ポーン(pawn) |
駒の価値 | 1点 |
長所 | ポーンを敵陣の一番奥まで進むと、他の駒に昇格できる。 駒の価値が低いからこそ、ポーンを犠牲に価値の高い駒を取りやすい。 |
短所 | 前進しかできない。後退できない。 |
将棋で例えると | 「歩」に近い。 |
棋譜 | 他の駒と違ってアルファベットで表記しない。移動先のマスだけ表す。 |
ポーンの基本的な動き方は、1マス前に前進するだけです。
ポーンの基本的な動き(青マスに動ける)
ただし、初期マスにいるポーンは1マスだけではなく、2マス進むことも可能です。
初期マスのポーン(青マスに動ける)
eポーンであれば、e3だけではなく、e4にも進むことができます。

また、ポーンだけ少し特殊なルールがあります。
ポーンの動きは1マス前進するだけですが、1マス前にいる駒を取ることができません。
例えば、以下の局面で、白ポーンは黒クイーンを取ることができません。
つまり、ポーンの1マス前に敵の駒がある場合は、そのポーンを動かせなくなります。
ポーンが敵の駒を取れるのは、斜め前方に敵の駒があるときだけです。
例えば、以下の局面であれば、白ポーンは黒クイーンを取ることができます。
そう、ポーンは敵の駒を取れる場合に限り、斜め前方に動く駒なのです。
チェスの駒の中でも、かなり特殊な動きになるので最初は覚えるのが大変です。
ポーンの動き方についてはゆっくりと覚えていきましょう。





以下の記事で、駒の動かし方をもっと丁寧に解説しています。
この記事の説明で理解できない場合は、以下の記事をじっくりと読んでみてください。
ルール③:チェック・チェックメイト・ステイルメイト
まず、チェックとチェックメイトの違いについて知っていきましょう。
チェックとチェックメイトの簡単な説明は以下のとおりです。
- チェック:キングが攻撃されている状態のこと。
- チェックメイト:キングが攻撃され、守る手段もない状態のこと。
将棋でいうところの「王手」がチェック、「詰み」がチェックメイトになります。
チェスの試合は、チェックメイトした側が勝利し、チェックメイトされた側が敗北します。
つまり、チェスの試合が始まったら、お互いにチェックメイトするために駒を動かし合うのです。
いくつかの例を見ながら、チェックとチェックメイトの違いを理解していきましょう。
チェックの例
まず、以下の局面は「チェック」です。
チェックメイトではありません。
黒のプレイヤーは、キングを逃がす手段も守る手段もあります。
このようにキングが逃げれる状態は
チェックメイトではない。
このようにキング以外の駒を動かして、
キングを守れる状態はチェックメイトではない。
また、黒のキングを攻撃しているb5のビショップを取れる場合もチェックメイトにはなりません。
チェックメイトの例
次にチェックメイトの例です。
この局面は、白がルークを動かして黒をチェックメイトした瞬間です。
チェックとは違い、黒のプレイヤーはキングを逃がす手段も守る手段もありません。
このように、「チェックされたときにキングを逃がす手段も守る手段もない状況」をチェックメイトと呼びます。
チェックメイトした側が試合の勝者なので、この局面では白が黒に勝利したことになります。


ステイルメイトについて
ステイルメイトは、手番になったプレイヤーに動かせる駒が1つもない状況のことを指します。
例:ステイルメイト
上記の局面は、手番が白番です。
しかし、白番には動かせる駒が何1つもありません。
このように、手番のプレイヤーがチェックされていないものの、動かせる駒が1つもない状況になったら、「ステイルメイト」となり試合が終了します。
ステイルメイトで試合が終了した場合、「引き分け」という判定になり、勝者も敗者もいません。
チェスでは、自分が絶対に勝てない状況になったら、引き分けに持っていくことも重要です。
敗北よりも引き分けのほうがレートが下がりづらかったり、大会で有利に働いたりします。
ルール④:チェスの特殊ルール
ここまでの内容だけでも、チェスをプレイすることは可能です。
しかし、チェスには特殊ルールが存在し、この特殊ルールを理解しているほうが絶対に強くなれます。
特殊ルールの中でも、「キャスリング」と「プロモーション」は絶対に理解しておくべきです。
重要な特殊ルールから順番にお伝えしていきます。
キャスリング
キャスリングは、チェスで最も使用される特殊ルールです。
キャスリングとは、キングとルークを同時に動かせる効率的な1手です。
そして、キャスリングには
- キングサイドキャスリング(King-side Castling)
- クイーンサイドキャスリング(Queen-side Castling)
の2種類があります。
キングサイドキャスリングの例
「4.O-O」にて、白のキングとルーク(キング側)が同時に動いていることが分かるでしょうか。
このように、キング側のルークとキャスリングすることを『キングサイド キャスリング』と呼びます。
クイーンサイドキャスリングの例
「5.O-O-O」にて、白のキングとルーク(クイーン側)が同時に動いていることが分かるでしょうか。
このように、クイーン側のルークとキャスリングすることを『クイーンサイド キャスリング』と呼びます。
キャスリングすると、「キングの安全性を確保できる」「ルークを攻撃的なマスに配置できる」というメリットがあります。
個人的な考えですが、ほとんどのチェスの試合でキャスリングが使用されているでしょう。
キャスリングが使用されていない試合は稀です。
ただ、キャスリングを使用するためには、いくつかの条件があります。
- キングとルークを初期位置から一度も動かしていないこと。
- キングがチェックされていないこと。
- キングとルークの間に、他の駒が存在していないこと。
- キングがキャスリングする先の2マスが、敵の駒の攻撃範囲に含まれていないこと。
全ての条件を解説すると長くなるので、割愛しますが、詳しく知りたい人は以下の記事をご覧ください。


プロモーション(昇格)
ポーンを敵陣地の奥まで進めることで、ポーンをプロモーションできます。
白のポーンであれば、8段目までポーンを進めるとプロモーション。
黒のポーンであれば、1段目までポーンを進めるとプロモーションです。
プロモーションが発生すると、そのポーンを
- クイーン
- ルーク
- ナイト
- ビショップ
のいずれかに昇格させることができます。
つまり、ポーンは最強の駒であるクイーンになれる可能性を秘めているのです。
また、非常に稀ですが、クイーンではなくナイトに昇格することで試合に勝利できる場合もあります。
このプロモーションという特殊ルールを知っているだけで、試合の終盤戦の面白さが段違いです。
ポーンをどのような手段でプロモーションさせるかについてお互いが考えて指し合います。
初心者には難しい記事かもしれませんが、以下のポーンエンディングの記事が参考になるでしょう。


アンパッサン
アンパッサンとは、ポーンに関する特殊ルールです。
アンパッサンとは、相手のポーンが2マス進んできたときに、自分のポーンの横マスに移動した場合、相手のポーンを取ることができる1手です。
アンパッサンを言葉だけで理解するのは難しいため、以下の例と合わせて理解してください。
例:アンパッサン
このような手がアンパッサンです。
アンパッサンは使用すると不利になることもあるため、慎重に使わなければいけない特殊ルールです。
しかし、アンパッサンを適切に使用することで、有利に試合を運べることもあるため、初心者であっても覚えておいたほうがいいでしょう。


実際にチェスをプレイしてみよう!
ここまでの内容を理解すれば、チェスをそれなりに指せるようになっているはずです。
ここからは実際にチェスを指してみましょう。
チェスをプレイできる有名なWebサイト・アプリは以下の2つです。
個人的な考えですが、チェス初心者であれば「Lichess」をオススメします。
どちらのサービスであっても、無料でコンピューター(または人間)と対戦することができます。
しかし、課金の案内がなく、完全無料で利用できるサービスは「Lichess」です。
一方で、Chess.comは基本的に無料サービスですが、一部機能が有料になっています。
Lichessは非営利団体によって運営されており、サーバー費用などは「有志からの寄付 」で成り立っています。
Lichessに対して寄付することは誰でもできますが、サービス利用中に寄付の案内が出ることもありません。
だからこそ、チェス初心者のうちはChess.comよりもLichessのほうがオススメです。
強いプレイヤーと対戦したかったり、チェスを少しでも早く強くなりたかったりする場合にはChess.comもオススメです。
結局のところ、どちらのサービスも利用自体は無料なので、両方のサービスを利用するのもいいでしょう。
実際、筆者は両方のサービスを利用しています笑。
「まだ自分でプレイできる自信がない…」という人は、人の対局を見てみるのはどうでしょうか。
本サイトのTOPページでは、Lichessの対局をリアルタイムで取得し、表示しているのでぜひ見てみてください!
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