[チェス用語]アンパッサンとは?アンパッサンでチェックメイトを決めた試合と合わせて解説

アンパッサンとは

チェスにおけるアンパッサン(またはアンパサン)とは、ポーンの特殊な動きによって敵のポーンを取れるルールです。

「アンパッサン」というルールを知っていれば、対局中に不意にポーンを失う可能性が下がります

また、アンパッサンを利用することで、対局を有利に進められることもあります。

そのため、駒の基本的な動きを理解したら、初心者であっても「アンパッサン」というルールを頭に入れておきましょう。

目次

アンパッサンの例

アンパッサンとは、相手のポーンが2マス進んできたときに、自分のポーンの横マスに移動した場合、相手のポーンを取ることができる1手です

アンパッサンを言葉だけで理解するのは難しいため、以下の例と合わせて理解してください。

例:アンパッサン

通常、チェスのルールで相手の駒を取るためには、自分の駒を相手の駒がいるマスに移動させる必要があります

しかし、アンパッサンはそのルールを無視します。

アンパッサンでは、自分のポーンが相手のポーンが通過したマス斜め前のマスに移動し、相手のポーンを取ることができます。

アンパッサンの流れをもう一度、以下の流れで確認します

STEP
敵のポーンが2マス進む

初期位置にあるポーンは、前方1マスまたは前方2マスに進むことができますよね。

STEP
自分のポーンの横マスに移動した

黒ポーンが[d5]に移動したことで、白ポーン[e5]と横並びになりましたね…。

STEP
「相手のポーンが通過したマス」の「斜め前のマス」に移動できる状態になる

「相手のポーンが通過したマス」の「斜め前のマス」に移動できる状態になります。
チェスで駒を取るときに、自分の駒を相手の駒がいるマスに移動させる必要がない唯一の手です。

STEP
アンパッサンする

「相手のポーンが通過したマス」の「斜め前のマス」に移動し、敵のポーンを取れることがアンパッサンというチェスのルールです。

アンパッサンの条件

アンパッサンはあくまでも「プレイヤーに与えられる権利」です。(=義務ではない。)

以下の状態*になっていても、アンパッサンせずに別の駒を動かしても問題ありません

*相手のポーンが通過したマスの斜め前のマスに移動できる状態

ただし、アンパッサンができるのは「敵のポーンが2マス進んだ直後のターンまで」という条件が決まっています

もし、アンパッサンできる状態で別の駒を動かした場合、「アンパッサンの権利は放棄した」という意味になります。

アンパッサンでチェックメイトを決めた試合

さて、実際の試合では、アンパッサンはどのように使用されているのでしょうか。

アンパッサンでチェックメイトを決めた有名な試合があるので、ご紹介します。

この試合は、1928年にオーストラリアのメルボルンで開催された「Pietzcker Christmas Tournament」という大会で行われました。

白番のGunnar Gundersen氏が15手目にアンパッサンを使用し、チェックメイトを決めています

アンパッサンした場面

Tips

アンパッサンでチェックメイトできる機会は、実際のところほとんどありません。しかし、チェックメイトまでいかなくても、「アンパッサンが最善手」になることはあります。相手がポーンを2マス動かしたときは、アンパッサンの”有効性”について、一考する価値は十分にあるのではないでしょうか。

アンパッサンの罠・注意点

アンパッサンは、最善手になることもあれば、悪手になることもあります。

たとえば、

  • 自分の駒を守るのに重要な役割を果たしていたポーンでアンパッサンしてしまった場合。
  • アンパッサンした後のポーンの形が悪く、相手に攻撃されやすくなった場合。
  • アンパサンした結果、自分の駒が動かしづらくなった場合。

など状況によっては、アンパッサンが悪手になることもあるでしょう。

アンパッサンが悪手だったかどうかについては、自分が対局後にAIに分析してもらうことがベストだと思います

Tips

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【オタク向け】アンパッサンの歴史

アンパッサンを初めて知ったとき、「なんでこんな分かりづらいルールがあるんだ…」と思ったのは私だけではないでしょう。

少しだけアンパッサンの歴史について調べてみました。

その結果、次のことが分かりました。

そもそもアンパッサンは、チェスのルールが変更されたときに生まれたルールでした

まず、昔はチェスのポーンは一度に1マスしか動けませんでした。しかし、ゲーム展開を速くするために、ポーンは初期位置から動くときに限り、2マス移動できるようになったのです。

そして、このルール変更によって、パスポーンが簡単に作りやすくなった歴史があったようです。(パスポーンとは、他の駒に妨げられずに進んで相手の陣地に到達できるポーンのこと。)

そう、アンパッサンは、このパスポーンが簡単に作れる状況を防止するために生まれたルールでした

参考にした記事:chess.com(En Passant)

具体的に、アンパッサンがいつ生まれたルールなのかは正確に分かっていないみたいです。

16世紀には既にアンパッサンのルールが記録されており、17世紀までにはヨーロッパのチェスの標準的なルールになっていたようですね。

最後に語源の話をします。フランス語でアンパッサンとは「通過の途中で」または「通過しながら」という意味があります。敵のポーンが2マス移動する「途中」で、まるでそのポーンが1マスしか動いていないかのように取るポーンの動きを表現しているみたいですね。この由来も覚えておけば、「アンパッサンってどういうルールだっけ…」と忘れても思い出しやすくなるかもしれませんね

以上、ちょっと物知りになりたいオタク向けのアンパッサンに関する知識でした。

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