ナイトの動き方と効果的な手筋【チェスの駒を解説】

チェスの駒である「ナイト」は、チェスで他の駒を飛び越えて移動できる唯一の駒です。
また、ナイトの動ける範囲は特徴的であるため、初心者が覚えるのに苦労する駒の1つかもしれません。
実践問題もありますので、ぜひチャレンジしてみてください。
概要
駒の名称 | ナイト(knight) |
駒の価値 | 3点 |
長所 | 敵の駒を飛び越えて移動できる。 |
短所 | 盤面の端にいると、支配できるマスが少ない。 |
将棋で例えると | 「桂馬」に近い。 |
PGN表記 | 「N」で表記される。 |
ナイトの動き方・動ける範囲
ナイトは、ナイトのいるマスを中心に
- 縦に2マスから横に1マス
- 横に2マスから縦に1マス
の範囲で動けます。
別の言い方をすると、ナイトのいるマスを中心に「L字型」のマスに動くことができます。
言葉だけでは理解しづらいので、以下の例をご覧ください。
青色のマスがアルファベットの「L」に見えますよね?
補足:青色のマスが「L字」。赤い丸がナイトの動けるマスを示しています。
このように、Lを描くように動く駒がナイトです。
このL字を前後左右のマスに当てはめると、以下のようになります。
ナイトの動ける最大範囲
このように、最大8箇所の任意のマスに移動でき、ナイトの周囲に他の駒があっても飛び越えて移動できます。

続いて、もう少し実践ベースでナイトの動けるマスを見てみましょう。
初期位置のナイトが動ける範囲
このように初期位置にいるナイトは、2箇所の任意のマスに移動できます。
ナイトの強い使い方
ナイトの強い使い方は、ずばり「フォーク」です。
フォークは将棋でいう「両取り」のことで、1つの駒で2つ以上の相手の駒を同時に攻撃するテクニックです。
相手は1度に1つの駒しか逃げることができないので、どちらかの駒を取ることができます。
フォークの例:キングとクイーンを同時攻撃
上記の例のように、キングとクイーンを同時攻撃できると、確実にクイーンを取ることができます。(ナイトが他の駒から取られる場合を除く。)
黒番の視点だと、チェックされたキングを逃がす手しかなく、クイーンを捨てる選択肢を取らなければいけません。



フォークするときは、駒の価値(点数)が高い駒を同時攻撃することがベストだね!
ナイトの駒の価値(点数)は、「3点」と決まっています。
そのため、ナイトより価値の高い駒は以下の3つです。
- ルーク:5点
- クイーン:9点
- キング(取れば勝利)
ナイトでフォークするときは、これら3つの駒をフォークすることを意識してみましょう。
【実践編】ナイトを使いこなそう
それでは、これから実践編に移ります。
指定された盤面の状況で、最善手を考えてみてください!
実践問題1
まずは上記の盤面で、最善手を考えてみましょう。



白番のあなたはどんな指し手を選択しますか?
クリックorタップすると開きます。
実践問題1のヒント①:小ヒント
ナイトは駒を飛び越えて移動することができます。
実践問題1のヒント②:中ヒント
盤面をよく見てください。次の1手で敵はチェックメイトを狙っています。
(d3のクイーンがf1のルークを狙っています。)
つまり、この盤面の最善手は、「単純な駒得ではない」ということです。
実践問題1のヒント③:大ヒント
この盤面の最善手は1手でチェックメイトです。
実践問題1の答え
正解は「c6のナイトでe7のポーンを取る」です。
ナイトがe7に移動したことで、g8にいるキングにチェックできます。
黒番のキングはこのチェックから逃げることができるでしょうか?
そう、ビショップがキングの逃げ道を塞いでいるため、キングは逃げることができず、チェックメイトになります。
このように、ナイトでチェックをかけると、合駒ができないので、すぐにチェックメイトになるケースがあります。
上記をクリックまたはタップすると、答えを確認できるので、ぜひ答え合わせしてみてください。



次の問題に移ります。
次の盤面において、あなたの最善手はなんでしょうか?
実践問題2
実践問題1と同様に、ヒントと答えは以下をクリックorタップしてご覧ください。
実践問題2のヒント①:小ヒント
この問題は少し意地悪かもしれません。(この問題には最善手以外にも良い手があります…笑)
色んな選択肢を考えてみることをオススメします。
実践問題2のヒント②:中ヒント
黒番にはチェックメイトの筋があります。
適当な手、たとえばa3にポーンを動かすと、以下のようにチェックメイトされます。
つまり、白番の最善手とは、「黒番にチェックメイトされないための1手」ということです。
実践問題2のヒント③:大ヒント
中ヒントは「白番の最善手は黒番にチェックメイトされないための1手」でしたね。
そして、「黒番にチェックメイトされないための1手」としては、
- 黒番のチェックメイトに必要な駒を削る。
- 先にチェックして敵の陣形を崩す。
- 黒番にチェックメイトされる前に勝つ。
といったことが考えられます。
実践問題2の答え
この盤面における最善手は「d5にいるナイトをb6に移動させる」です。
上記図のように、b6にナイトが移動すると、c7のキングにチェックできます。
このチェックによって、黒のキングは逃げ場を失い、チェックメイトになるのです。
ちなみに、c7のポーンはc1のルークによって「ピン」されているので、c6のナイトを取れません。
ピンの補足説明
もし、c7のポーンがb6のナイトを取ると、c1のルークによってキングを取れてしまいます。
このように、「敵の駒を動けないように釘付け状態にすること」をピンといいます。



実践問題1に続き、1手だけでチェックメイトですね(笑)。
まず、多くの人はd5にいるナイトが重要な駒であると分かったのではないでしょうか。
そして、「d5のナイトをe7に動かして、キングとクイーンのフォークする」が最善手だと思った人も多いのではないでしょうか。
引っ掛かりやすい間違い
実際、キングとクイーンをフォークできれば、3点のナイトと9点のクイーンを交換できるので、ほとんどの場合で勝てます。
しかし、この問題の質問は「最善手を探すこと」です。
そのため、良い手ではありますが、この問題の中では間違いだといえるでしょう。
また、チェックメイト筋を見逃して、キングとクイーンのフォークを狙ってしまうことは実践だと結構あります。



自分への戒めも含めて、このような少し意地悪な問題を作りました(笑)。
以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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