チェスにおける「フォーク」とは?練習問題を解いて覚えよう!

チェスにおける「フォーク」とは、2つ以上の敵の駒を同時に攻撃する戦術です。
フォークを利用すれば、相手の駒を取るチャンスを作り出したり、相手の駒の配置を崩したりすることができます。
以下の局面をご覧ください。
この局面では、白のナイトが黒のクイーンとキングを攻撃しています。
このとき、白のナイトは2つの駒を同時に攻撃していますね。
フォークとは、このように2つの駒を同時に攻撃することで、どちらか一方の駒を確実に取る戦術です。
フォークは全ての駒で実行できます。その中で、最も効果的にフォークできる駒は「ナイト」です。駒を飛び越えることができ、ナイト自体の駒の価値は3点と高くないので、駒得を狙いやすいのです。
フォーク(Fork)を解除する方法
実戦では、相手から自分の駒がフォークされることがよくあります。
そんなとき、「フォークを解除すること」が重要になることがあります。
ただ、フォークを解除することは、ピンやスキュアと比べて難しいです。
そのため、フォークされないように駒を臨機応変に配置することがベストです。
フォークを解除する例を以下で紹介します。
- フォークされた駒を動かして、相手のキングにチェックする。
- 価値の高い敵の駒に攻撃を仕掛ける。
フォークされた駒を動かして、相手のキングにチェックする
フォークされた駒を動かして、相手のキングにチェックできれば、フォークで駒損する可能性は減ります。
以下の局面をご覧ください。
この局面では、e6の白のナイトによって、d8の黒クイーンとf8の黒ルークがフォークされています。
しかし、黒番にはフォークを解除する手が存在します。

それは、クイーンをd1に動かす1手です。
黒はクイーンをd1に動かすことで、白のキングにチェックできます。
白はフォークをしていたので、f8のルークを取れるはずでしたが、ここではチェックされたのでf8のルークを取れません。
以下のように、a2にキングを逃がす必要があるのです。
白がキングを逃がしている間に、黒はフォークされていたルークを別のマスに逃がすことができます。
このように、ナイトによってフォークされたとしても、相手のキングをチェックすることができれば、フォークを被害なく解除できます。
ただ、フォークされたときに、相手のキングにチェックできるシチュエーションはあまりありません。
価値の高い敵の駒に攻撃を仕掛ける
価値の高い敵の駒に攻撃を仕掛けることで、フォークを解除できる可能性があります。
以下の局面をご覧ください。
この局面では、a8の黒ルークとe6の黒ナイトがフォークされています。
このままでは、黒のプレイヤーは駒損してしまうことになるので、どうにかフォークを解除しなければいけません。
そして、この局面でフォークに対抗する手段は2通りあります。
- a8のルークをe8に動かす。
- ナイトをf4に動かす。
1つ目の手段は、「a8のルークをe8に動かす」という手です。
ビショップから攻撃されているルークを動かして、e6のナイトを守りにいく手です。
この手を指せば、駒損は避けることができます。
フォークされたときにやむを得ず、こういった手を指すことはあります。
ただし、この手は消極的で黒の陣形が悪くなる手なので、あまり良い手とはいえません。



この局面では、もう片方のフォークに対抗する手段を選ぶべきです。
「ナイトをf4に動かす」という手は、ナイトで敵のクイーンを攻撃する手です。
このように、h3の白クイーンをナイトで攻撃できますね。
クイーンを攻撃された白のプレイヤーは、a8のルークをビショップで取っている暇がありません。
クイーンを取られないマス、例えばg3などに動かす手を指さなければいけないでしょう。
これで黒のプレイヤーはa8のルークを逃がすことができますが、f4のナイトでビショップを取る手を選択したほうが面白いです。
f4のナイトでビショップを取ると…
相手のポーン構造を悪くできる。
つまり、フォークを解除しながら、相手のポーン構造を悪くできるため、黒のプレイヤーはこの後有利に試合を進めることができます。
このように、フォークされている駒よりも価値の高い敵の駒を攻撃することで、フォークを解除することが可能です。
フォークのメリットは何か
チェスでフォークを狙うメリットは以下のとおりです。
- 駒得できる可能性が高い。
- 相手の陣形を悪くできる。
駒得できる可能性が高い
フォークは、単純に駒得をしやすい点が魅力的です。
フォークを解除する方法は前述したとおり存在しますが、それらの方法は可能なケースが限られています。
実戦のチェスにおいては、フォークすることができれば駒得できる可能性が高いです。
積極的にフォークできる手を狙うことで、自分にとって有利な局面に持っていくことができるでしょう。
相手の陣形を悪くできる
以下の局面を思い出してください。
ビショップから攻撃されているルークを動かして、e6のナイトを守りにいく手です。
この手は、フォークされたとしても駒損を回避できますが、自分の駒の陣形は悪くなります。
ビショップとナイトを交換した後の局面。
駒交換すると、ルークをe6に動かすことになりますが、e6にいったルークをこの局面で活かすことは困難です。
そして、悪くなった陣形を改善する手を指すと、その間に相手に攻撃を仕掛ける準備時間を与えることになります。
このように、単純な駒得ができなかったとしても、フォークすることで相手の陣形を悪くできる可能性があります。
フォークの練習問題【どうすればフォークを作れる?】
それでは、実際にフォークの練習問題を解いてみましょう。
これから、ある局面を用意しますので、「フォークを使った最適手」を探してみてください。
練習問題①
以下の局面で、手番は黒番のあなたです。
黒番のあなたはどんな手を指しますか?
練習問題①のヒント
この局面の最善手は、「フォークを作ること」です。
この局面で、どうやってフォークを作るかを考えてみてください。
練習問題①の答え
答えは「Ne2」です。
この問題は少し簡単だったかもしれませんね。
「キングとクイーンをナイトでフォークする」という手です。
実際の試合では、キングとクイーンをフォークできることはほとんどありません笑。
キングとクイーンをフォークできれば、必ずクイーンを取れるため、試合に勝利したも同然です。
どちらかといえば、自分のキングとクイーンが敵からフォークされないように意識したほうが実戦で役に立つでしょう。
練習問題②
以下の局面で、手番は白番のあなたです。
白番のあなたはどんな手を指しますか?
練習問題②のヒント
まずは、この局面を客観的に評価してみてください。
白には、キング・ルーク1個・ポーン4個の駒。
黒には、キング・ナイト2個・ポーン6個の駒。
駒の点数を数えると、白番のあなたは劣勢です。
そして、この劣勢の局面をひっくり返す1手があることに気付いてください。
それが最善手です。
練習問題②の答え
答えは「Kb3」です。
キングで敵のナイト2個をフォークするという手です。
この手によって、片方のナイトをタダ取りすることができ、大きく有利になります。
ピンやスキュアは特定の駒でしか実行できませんが、フォークは全ての駒で実行できます。
このようにキングでさえフォークできるので、常にフォークの可能性は捨ててはいけません。
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