ロンドンシステムの指し方|チェスのオープニング【定石/理論】

チェスの有名なオープニングである「ロンドンシステム」について解説します。
ロンドンシステムは初手d4から始まり、柔軟性が高く手堅いオープニングとして知られています。
- 柔軟性が高く、別のオープニングへ変化させることができる。
- 相手の指し手に左右されにくいため、初心者でも指しやすいオープニング。
- オープニングの原則に従って序盤戦を進めることができる。
- 人気が高くよく指されるオープニングのため、相手が対応に慣れている可能性が高い。
- Qb6からの攻撃やセンターの取り合いでミスすると不利になる。
ロンドンシステムの定石
以下はロンドンシステムの定石の一例です。
白番の駒の並びに注目してみましょう。
このようにポーンの並びがピラミッドのような構造になっています。
これによって、ポーン構造が崩れにくくなり、堅実な序盤戦を進めることができます。
次にマイナーピースの形を見てみましょう。
ビショップとナイトは相手の駒に簡単に攻撃されにくいマスに展開されています。
これによって、相手の指し手に左右されにくい序盤戦を進めることができます。
また、全体的な駒の並びを見てみると、d5のマスを強くコントロールしていることが分かるはずです。
さらに、d3に配置されたビショップは相手のキングサイドキャスリング後の重要なポーンに攻撃できています。
ロンドンシステムを指したい人は、まずはこの駒の並びを基本の形として覚えてみるのがいいでしょう。
ロンドンシステムで意識すること
ロンドンシステムを指す上で、意識すべきことや注意すべき点をまとめます。
f3のナイトをe5に指す
f3に展開したナイトは多くの場合でe5に指します。
f3のナイトをe5に動かすメリットは以下の通りです。
- ナイトがより活躍できるマスに移動できる。
- クイーンを攻撃的なマスに展開できる。
- 相手が簡単に取れない。
まず、ナイトをe5に動かしたほうがf3に配置されていたときよりも、より活躍する駒に変化してくれます。
上記の赤マスのように、e5に配置したほうが重要なマスに移動しやすいです。
また、e5に展開したことでクイーンを展開しやすくなります。
例えば、Qf3 Qh3と移動すれば、d3のビショップと相手のキングに強いプレッシャーを与えることが可能です。
e5に移動したナイトは強力ですが、相手からすると簡単には取りづらい駒でもあります。
例えば、黒番がc6のナイトでe5のナイトを取ると…。
このように、黒のf6のナイトに攻撃することができます。
そして、もちろん相手のナイトは逃げることになりますが…。
f6のナイトはh7のポーンを守る重要な駒の1つでした。
そのため、d3のビショップと組み合わせた攻撃が止めづらくなります。
例えば、Qh5と指すと、黒のプレイヤーに大きなプレッシャーを与えます。
黒はf5などと指して、チェックメイトを防ぐことは可能です。
しかし、この後に続くポーンストームなどをミスなく受けきるのが大変になります。
このように、f3に展開したナイトはe5のマスに配置できると、白にとって有利に働く可能性が高いです。
f4のビショップとd6の敵ビショップを簡単に交換しない
ロンドンシステムを指していると、黒番がBd6と指してビショップ交換を提案してくることが多々あります。
このとき、相手の誘いにのってビショップ交換するべきではありません。
もし、ビショップ交換すると…。
相手のcポーンによって取り返されてしまい、e5の重要なマスを支配できなくなります。
ロンドンシステムでは「f3のナイトをe5に指すこと」を意識すべきとお伝えしましたが、この展開になるとe5のマスにナイトを展開できなくなります。
もし、黒番がd6にビショップを展開してきた場合は、以下のような選択肢があります。
- f4のビショップをg3に下げる。
- e5にナイトを配置する。
- 相手が駒交換するのを待つ。
f4のビショップをg3に下げる。
1つ目の選択肢は、ビショップをg3に下げてみてください。
もし、黒番がこのg3のビショップを取ると、ルークの道が開かれるので攻撃的な展開を進められます。
ルークの道が開くと、Bf3という手のプレッシャーが強くなったり、ポーンストームを進めやすくなったりします。
e5にナイトを配置する。
e5にナイトを展開することで、強制的にビショップ交換を防ぐことができます。
しかし、この手は上級者向けであり、難しい局面になる可能性があります。
以下のようにNc6と展開されると、ポーンのピラミッド構造が崩れてしまう展開も考えられるでしょう。
相手が駒交換するのを待つ。
相手が駒交換するのを待つのも1つの手です。
例えば、Nbd2などと指します。
こうなると相手がf4のビショップを取り、ダブルポーンを作る展開になる可能性があります。
このようにダブルポーンを作ったとしても、白番のプレイヤーは不利になったわけではありません。
ダブルポーンを作った代わりに、e5のマスを強く支配でき、eファイルもセミオープンファイルになります。
そのため、相手がf4のビショップを取ってくるのを待ってみるのも悪くないでしょう。
ロンドンシステムが使用された試合
ロンドンシステムが使用された試合を見ていきましょう。
以下の試合は、2021年に行われた対戦です。
どちらのプレイヤーも手堅く指しており、ロンドンシステムらしい試合といえます。
「ロンドンシステムで意識すること」で挙げた以下の2点も守られていた試合です。
- f3のナイトをe5に指す。
- f4のビショップとd6の敵ビショップを簡単に交換しない。
ロンドンシステムを指す際の参考にしてみてください。
ロンドンシステム(London System)のECOコードは「D02」です。
コメント