スラブディフェンスの概要|メリット・デメリット・バリエーション
スラブディフェンスは、クイーンズギャンビットに対して黒番がc6と指すチェスのオープニングです。
- 多くの世界チャンピオンが重要な試合で使用した強力なオープニング。
- クイーンズギャンビットに対して堅実な試合運びを望める。
- 両方のビショップを展開しやすい。
- b8のナイトをc6に展開できなくなる。
- よく見るオープニングなので、相手が対応に慣れている可能性が高い。
スラブディフェンスが使用された試合
スラブディフェンスが使用された試合を見ていきましょう。
以下は、1995年に行われた対戦です。
白のアナトリー・カルポフは、1975年から1985年までチェスの世界チャンピオンとして活躍したプレイヤーです。
一方で黒のウラジーミル・クラムニクは、2000年から2007年にチェスの世界チャンピオンになります。

この試合のオープニングは、スラブディフェンスだよね?



そうだね、クイーンズギャンビットに対してc6と指しているからスラブディフェンスだよ。



黒の24手目「Nxa4」後の局面を見てみると、白の駒がかなり縮こまっているね。どうしてこんなことになったんだろう?



これは、黒のクラムニクが中央を支配しきったことが大きいだろうね。クラムニクは中央に駒を集中させて、駒を活性化させている。それに対して、中央の支配で負けたカルポフは駒を前に出せず、狭いエリアで戦うことになったんだ。



なるほど…。白はどうするべきだったのかな?



白はもっと駒交換を積極的に仕掛けても良かったかもしれないね。一度取られた中央を取り返すために、中央を支配している駒に自分の駒をぶつけることで中央の支配で不利にならないようにできたよ。



そうなんだ…!例えば、どこで白は駒交換すべきだったかな?



例えば、白は16手目にBd3と指して、e4のマスでナイト交換する準備をしたほうが良かったかな。結局のところ駒交換が進めば、駒が多い局面よりは中央の重要性は下がるからね。
スラブディフェンスのバリエーション
スラブディフェンスのバリエーションをいくつかご紹介します。
セミ スラブディフェンス
セミ スラブディフェンスは、スラブディフェンスのよくある変化の1つです。
黒の基本的な狙いは白のc4ポーンを取り、b7-b5と指すことで白のセンター支配を弱めることです。
このようにc4のポーンを取って…
b7-b5でc4ポーンを守る。
白のセンターを崩すことで、黒は自分のビショップやクイーンなどの駒を活性化できます。
b7-b5でc4ポーンを守ることで、白のf1にいるビショップの展開を妨げることもできます。
このオープニングが使用された試合
この試合では、白がすぐにe3と指すことで黒の狙い(c4への攻撃)を防ぐことに成功しています。
スラブディフェンス:チェコバリエーション,ダッチバリエーション
スラブディフェンスの試合が進むと、この「チェコバリエーション,ダッチバリエーション」という変化になります。
この変化では、白がa4と指すことで黒のb7-b5という手を防いでいます。
やはり、「黒のb7-b5という手にどのように対応するか」という点はスラブディフェンスを攻略する1つの鍵になるでしょう。
このオープニングが使用された試合
スラブディフェンス:エクスチェンジ バリエーション
スラブディフェンスでしばしば見られる変化が「エクスチェンジ バリエーション」です。
スラブディフェンスのエクスチェンジ バリエーションは、「cxd5」と指すことでシンプルな局面を迎えることができます。
この後、黒番は「cxd5」と指してポーンを取り返す展開になることがほとんどです。
この局面になったら、白と黒は一旦マイナーピースの展開を始めることになります。
このエクスチェンジバリエーションは、引き分けになることが多いといわれており、白にとってはあまり良い変化とはいえません。
ただ、cxd5によってシンプルな局面が作られるので、スラブディフェンスが苦手だと感じる場合には、この変化を使用して中盤戦や終盤戦で力の差を見せつけるのも手です。
このオープニングが使用された試合
スラブディフェンス(Slav Defense)のECOコードは「D10-D19」と「D43-D49」です。D10からD19はスラブディフェンス、D43からD49はセミスラブディフェンスに関するECOコードです。
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