シシリアン・ディフェンスの概要|メリット・デメリット・バリエーション
シシリアン・ディフェンス(Sicilian Defense)は、e4に対してc5と指すチェスのオープニングです。
このシシリアン・ディフェンスは非常に人気の高いオープニングです。
シシリアン・ディフェンスを知らないチェスプレイヤーはほとんどいないでしょう。

シシリアン・ディフェンスは、どちらかといえば攻撃的なオープニングです。
ただ、多くのバリエーションがあり、プレイヤーの選択次第で、堅実なプレイも可能です!
- 白の中央ポーンに対抗し、中央のコントロールを争うことができる。
- クイーンサイドのスペースが広がり、駒展開や攻撃に有利に働く。
- 多くのバリエーションがあり、自分のプレイスタイルに合わせて選ぶことができる。
- シシリアン・ディフェンスは有名なオープニングのため、相手が対策を練っていることがある。
- キングサイドの駒展開が遅れることがあるため、キングの安全に注意が必要。
シシリアン・ディフェンスが使用された試合
シシリアン・ディフェンスが使用された試合を見ていきましょう。
以下の試合は、1959年にアルゼンチンの強豪選手「ロドルフォ・レドルフィ」と、アメリカの若き天才「ボビー・フィッシャー」との間で行われました。
フィッシャーが黒番でシシリアン・ディフェンスを採用しました。



この試合、シシリアン・ディフェンスっていうオープニングが使われているんだね。どうして黒(フィッシャー)が勝ったのかな?



そうだね、シシリアン・ディフェンスは黒が中央のポーンに対抗するために使われるオープニングだ。この試合では、黒番のフィッシャーがうまく中央でポーンを交換し、白のポーン構造を弱体化させることに成功しているね。終盤戦では、フィッシャーが相手の駒の連携が弱まるような状況を作り出すことに成功して勝利を収めたよ。



そうなんだ。白もなかなか良い手を指していると思うんだけど、負けた要因は何かな?



中盤戦の後半から終盤戦の途中までは、白のレドルフィが有利な状況が続いていたよ。ただ、白が39手目にaポーンをプロモーションさせるために、ポーンを突いたんだ。でも39手目の局面では、白のキングが危険な状態だから、ポーンを突いている暇はなかったんだ。白はもっと早くクイーン交換を持ちかけることができれば、勝利できたかもしれないね。



なるほど、例えば39手目にQd4と白が指した場合、絶対にクイーン交換できるもんね。



そうそう、自分が有利な局面になっているときは、積極的に駒を交換することで、相手の攻め手を減らすことができるよ。そうすれば、安全に勝利することも難しくないね!



最後は、チェックメイトが見えてるから白番が降参したんだよね?



そうだね、Rh1+で白のキングは逃げ場所がg2しかないね。でも、クイーンをf1に動かせば、チェックメイトになるから白のレドルフィは降参したんだ。
シシリアン・ディフェンスのバリエーション
シシリアン・ディフェンスのバリエーションをいくつかご紹介します。
シシリアン・ディフェンス:モダンバリエーション
モダンバリエーションは、シシリアン・ディフェンスで最も一般的なバリエーションです。
先ほどのレドルフィとフィッシャーの試合でも、このモダンバリエーションに変化していましたね。
黒がd6と指す狙いは、「e4のポーンをこれ以上突かせないこと」です。
もし、e5と指されるとg8のナイトを展開しづらくなります。
黒はNf6と指すために、d6と指すことが重要なのです。
このオープニングが使用された試合
シシリアン・ディフェンス:オールドシシリアン
オールドシシリアンは、d6にポーンを突いてe5のマスをコントロールしたモダンバリエーションとは異なり、ナイトによって中央を支配します。
Nc6と指された場合、白番は大体4通りの指し手が一般的です。
- d4と指して「オープンバリエーション」に変化させる。
- Bb5と指してc6のナイトを攻撃する。
- Nc3と指して駒の展開を進める。
- c3と指してd4と指す準備をする。
どの手を指されても、黒はきちんと対応することで序盤から不利になることはありません。
このオープニングが使用された試合
シシリアン・ディフェンス:フレンチバリエーション
フレンチバリエーションは、シシリアンの代表的なバリエーションの1つです。
黒はe6と指すことで、f8のビショップを展開する準備をします。
シシリアン・ディフェンスは、c5と指すオープニングですが、c5と指すことでクイーンサイドキャスリングがしづらくなります。
そのため、キングサイドの駒を早めに展開できると、キングの安全を確保しやすくなります。
フレンチバリエーションでは、e6と指してf8のビショップを展開する準備ができるので、比較的に安全にキングサイドキャスリングできるでしょう。
このオープニングが使用された試合
シシリアン・ディフェンス:アラピン・バリエーション
これまでは黒のc5という手に対して、白がNf3で始まるバリエーションを紹介していましたが、このバリエーションはc3と指します。
このc3と変化するバリエーションを「アラピン・バリエーション」といいます。
c3という手は次にd4と指すための一手ですね。
e4とd4にポーンを突くことができれば、中央の支配を強めることができるでしょう。
このオープニングが使用された試合
シシリアン・ディフェンス:ドラゴンバリエーション
ドラゴンバリエーションは、駒の配置が「りゅう座」に似ていることから名付けられています。
黒番がg6と指して、フィアンケットの準備をすることでドラゴンバリエーションに変化します。
ドラゴンバリエーションに変化した場合、白番はhポーンやgポーンを突き、キングサイドにプレッシャーをかけることが多いです。
一方、黒番のg7に配置されたビショップは、中央に対して強いプレッシャーをかけることができます。
このg7のビショップは、白番がクイーンサイドにキャスリングした場合に強力な攻め駒の一つになるでしょう。
このオープニングが使用された試合
シシリアン・ディフェンス(Sicilian Defense)のECOコードは「B20-B99」です。バリエーションの数が多く、全てのバリエーションを覚えることは困難なオープニングです。
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