[チェス用語]FES(Forsyth-Edwards Notation)とは何か?

チェスにおけるFESとは「Forsyth-Edwards Notation」のことであり、駒配置を記録するための記法です。
FESは、
- 盤面の駒配置
- 手番
- キャスリングの権利
- アンパッサンの可能性のあるマス
- 50手ルールのための半手番数
- 現在の手数
といった情報を記録しています。
PGNとは違い、試合の細かな流れを知ることはできません。
FESから読み取れるのは、あくまでも部分的な駒の配置や手番に関する情報です。
チェスのFESの例
まずは、チェスのFESの例を見ていきましょう。
rnbqkbnr/ppp2ppp/4p3/3p4/2PP4/8/PP2PPPP/RNBQKBNR w KQkq – 0 3
上記のFESを表示すると、こんな感じです。
FESでは、最初に盤面の駒配置について記載されています。
青文字のテキスト部分が駒の配置を示しています。
そして、
- 小文字=黒番の駒
- 大文字=白番の駒
となっているのです。
まず、「rnbqkbnr」という部分では、
- r=ルーク
- n=ナイト
- b=ビショップ
- q=クイーン
- k=キング
といった感じで駒の頭文字が小文字(=黒番)で書かれていため、黒番の駒の配置が分かります。

「rnbqkbnr」の次にある「スラッシュ(/)」は、横列(ランク)ごとに入ります。
また、FESの数字は「駒が何もないマスの数」を表しています。
そのため、次の「ppp2ppp」は「ポーン3つ・駒がないマスが2つ・ポーンが3つ」です。
実際、チェス盤の7ランク目を見ると、そのようになっていることが分かるでしょうか。
これらを踏まえると、「rnbqkbnr/ppp2ppp/4p3/3p4/2PP4/8/PP2PPPP/RNBQKBNR」という文字の羅列が以下の盤面を示していることが理解できるでしょう。
rnbqkbnr/ppp2ppp/4p3/3p4/2PP4/8/PP2PPPP/RNBQKBNR w KQkq – 0 3
次に「w」がありますが、これは白の手番を表しています。
wはWhiteの頭文字です。黒の手番なら「b」ですね。
rnbqkbnr/ppp2ppp/4p3/3p4/2PP4/8/PP2PPPP/RNBQKBNR w KQkq – 0 3
続いて、「KQkq」はキャスリングの可否です。
どちらもキャスリングの権利を失っている場合は「-」と書きます。
それ以外の場合は、
- K=白のキングサイドキャスリングが可能
- Q=白のクイーンサイドキャスリングが可能
- k=黒のキングサイドキャスリングが可能
- q=黒のキングサイドキャスリングが可能
ということを意味します。
rnbqkbnr/ppp2ppp/4p3/3p4/2PP4/8/PP2PPPP/RNBQKBNR w KQkq – 0 3
そして、「–」はアンパッサンの可否です。
「-」はアンパッサンができない盤面であることを示しています。
アンパッサンが可能な場合、その動きをする駒の位置が指定されます。
rnbqkbnr/ppp2ppp/4p3/3p4/2PP4/8/PP2PPPP/RNBQKBNR w KQkq – 0 3
「0」は50手ルールのための半手番数です。
「最後の駒を取る1手」または「ポーンを動かす動作」から最後の半手番までの手数を示します。
簡単にいえば、お互いに意味のない指し手を続けた場合に、引き分けになるルールがチェスにはあります。



将棋でいう「千日手」のようなイメージですね。
この0という数字は、「引き分けに繋がる繰り返しの手」がまだ一手もないことを示しています。
rnbqkbnr/ppp2ppp/4p3/3p4/2PP4/8/PP2PPPP/RNBQKBNR w KQkq – 0 3
最後の「3」という数字は、現在の手数です。
以下の盤面をもう一度見ると、「白の3手目が始まるところ」だと分かりますね。
以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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