バード オープニングの概要|メリット・デメリット・バリエーション
バード オープニング(Bird’s Opening)は、ポーンf4から始まるチェスのオープニングです。
イギリスの偉大なチェスプレイヤー「ヘンリーバード」が支持したオープニングであり、ヘンリーバードにちなんで名付けられたとされています。

バード オープニングは、攻撃的なスタイルのプレイヤーが好むことが多いオープニングです。
- 攻撃的なスタイルのプレイヤーと相性が良く、相手にプレッシャーをかけることができる。
- f4という手はe5のマスを支配し、センターの支配に貢献している。
- 一般的なオープニングではないため、相手が対策してない可能性がある。
- f2にポーンがいないことで、白のキングの安全性が低下する。
- 間違った手を指すと、すぐにチェックメイトされる(フールズメイト)。
バード オープニングが使用された試合
バード オープニングが使用された試合を見ていきましょう。



あれ、この試合で白が最初にf4って指してるね。



ああ、それはバード オープニングっていうんだ。ちょっと珍しいオープニングだよね。



そうなんだ!でも、白はなんで最初にf4って指すの?



f4は一般的なオープニングではないから、相手が不慣れな局面に追い込むことができるんだ。また、白はセンターの支配を狙ってf4を指し、短期的には駒の活動性が向上する可能性があるよ。



へえ、それは面白いね!でも、白はキングの安全性に問題があるんじゃない?



その通り。バード・オープニングを指すと、キングの安全性が低下するリスクがあるんだ。f2のポーンが動いてしまうことで、キングの防御力が弱くなるからね。



リスクもあるんだね。ちなみにこのオープニングを使うときは、どんな指していけばいいのかな?



まずは、駒を効果的に展開してポジションを改善することが重要だね。例えば、この試合の白番は3.b3と4.Bb2でビショップをフィアンケットすることで駒を活躍させているね。



なるほどね。チェスって、オープニングだけでもこんなに奥が深いんだね。



本当にそうだね。オープニングは試合の流れを作る大切な局面だから、いろんな戦術を勉強して、自分に合ったオープニングを見つけることが大事だね。
バード オープニングの危険性【フールズメイト】
ここでは、バードオープニングを使用する危険性について解説していきます。
フールズメイトについて



ねね、バードオープニングを使ってみたいんだけど、対戦相手になってくれない?



いいよ!早速試してみよう。



バードオープニングは、確か初手f4って指せばいいんだよね。



じゃあ、僕はe5と指そうかな。



なるほど、e5ね。それなら、ポーンをどんどん突こうかな。
g4って指しちゃお!



あ。



ん?どうしたの?



これは、クイーンh4でチェックメイトだね。



え、まじ?
フールズメイトは、チェスで最短のチェックメイトパターンのことを指します。
白があまりにも愚かな指し方をしなければ発生しないことから、「フールズメイト(Fool’s mate)」と言われています。
バード オープニングを使用するときは、最低限フールズメイトにならないようにしましょう。
オープニングを学ぶ意味はさまざまありますが、このようなフールズメイトを避けるためでもありますね。
バード オープニングのバリエーション
バード オープニングのバリエーションをいくつかご紹介します。
f4で始まるバードオープニングですが、それに対して黒番が
- e5
- d5
のどちらかを指すと、名前が付いたバリエーションに変化します。
最も一般的な黒番の指し手は「d5」になりますが、ECOコードの順番的にe5のバリエーションからご紹介していきます。
バード オープニング:フロムギャンビット
バードオープニング(f4)に対して、黒番がe5と指す変化を「フロムギャンビット」と呼びます。
黒番はe5のポーンを捨てる代わりに、f4ポーンを孤立させてることを狙っています。
f4ポーンがe5ポーンを取ると、白番はキングサイドの防御が非常に弱くなりますね。
このフロムギャンビットは、センターのポーンを捨てる手です。
そのため、黒番は攻撃的な展開に進めますが、白番に正確な手筋を指されると、黒番が不利な展開になる可能性があります。
バード オープニング:フロムギャンビット,ラスカーバージョン
フロムギャンビットからさらにいくつかの変化がありますが、その中で最も攻撃的な変化が「ラスカーバージョン」です。
黒の狙いは、次にg4と指して、クイーンh4からチェックメイトを狙っています。
例:g4,クイーンh4からのチェックメイト
白番は黒番がg5と指した時点で、g3と指すことが多いです。
白番がg3と指せば、もし黒番がg4と指してもナイトを逃がすことができ、チェックメイトもされません。
このオープニングが使用された試合
この試合では、黒の6手目でビショップによるチェックから、クイーンでd4のナイトを取っています。
一見、黒が上手く指しているように見えます。
しかし、コンピューターで解析すると、ビショップによるチェックからのナイト取りは悪手です。
その後の状況を見れば分かりますが、白はルークをいつでも展開できるようになっています。
また、黒番の駒の配置は崩れており、センターにいるクイーンも駒の展開時に狙われてしまいます。
バード オープニング:ダッチバリエーション
バードオープニング(f4)に対して、黒番がd5と指す展開が最も一般的です。
これは「ダッチバリエーション」と呼ばれています。
フロムギャンビットとは違い、堅実なプレイをしたいときはダッチバリエーションが使用されます。
オープニングの段階では駒の交換があまり発生しないため、中盤戦や終盤戦で勝敗を分けるでしょう。
バード オープニング:ダッチバリエーション,ラスカーバージョン
ダッチバリエーションからさらにいくつかの変化がありますが、その中で最も指される変化は「ラスカーバージョン」です。
ラスカーバージョンでは、黒番がc5にポーンを突くことでセンターの支配で有利を取ろうとしています。
堅実なダッチバリエーションから始まり、オープニングの原則通りにセンターを支配するラスカーバージョンは、黒番にとって優れたオープニングの1つです。
白番は、センターの支配で負けないようにc4と指したり、展開しづらくなっているc1のビショップをフィアンケットしたりすることが多いです。
このオープニングが使用された試合
Lichessでレーティング3,000超えの強者同士の試合です。
どちらも持ち時間が1分と短いながらも、序盤はミスがほとんどありません。
試合は終盤まで互角で、最終的には最後までポーンの形が良い黒番の勝利をつかみました。
バード オープニング(Bird’s opening)のECOコードは「A02-A03」です。
f4に対して「e5」と変化するバード オープニングはA02。
f5に対して「d5」と変化するバード オープニングはA03。
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